阿魯庫雷姆公爵領篇二 二百六十八話 吾已然不是吾
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作者:SPT草包│2018-11-28 22:32:29│贊助:2│人氣:62
四度目は嫌な死属性魔術師
討厭第四次的死屬性魔術師
作者:デンスケ
第十一章 アルクレム公爵領編二 二百六十八話 我は我では既にない
第十一章 阿魯庫雷姆公爵領篇二 二百六十八話 吾已然不是吾
原文連結
庭で優雅にお茶でも楽しむには、もってこいな春らしい温かな昼下がり。何の前触れもなく、都の郊外から大きな破壊音が響いた。
在庭園裡優雅地享受著茶,就似再好不過的春季的溫暖午後。什麼預告也沒有,從首都的郊外響起巨大的破壞聲。
アルクレム公爵の別邸から煙が上がり、衛兵や騎士達が周辺の住人を避難させ、その間も鋭い剣戟や魔術の爆発音、そして怒鳴り声や悲鳴が別邸から響く。
煙塵從阿魯庫雷姆公爵的別墅裡上升,衛兵及騎士們讓周邊的居民避難,那期間也從別墅裡響起尖銳的劍戟及魔術的爆炸聲,還有怒吼聲及慘叫聲。
この日別邸で何が行われていたのか、知っていた一部の者達は交渉が決裂し、ダンピール達と『アルクレム五騎士』の戦いが始まったのだと思い込み、顔を青くした。
這一天在別墅裡有什麼被進行著呢,知道的一部分人們深信是談判破裂,半吸血鬼他們與『阿魯庫雷姆五騎士』的戰鬥開始了,臉色鐵青。
だが、このアルクレムは約百万人が住む大都市だ。郊外で起きた事件が街中に知れ渡るには、時間がかかるだろう。
但是,這個阿魯庫雷姆是大約百萬人居住的大都市。在郊外發生的事件要全城皆知,要花時間吧。
しかし、街の外で上がった煙には、多くの人間が気づいた。
可是,在城市外面上升的煙塵,很多的人類注意到了。
「何だっ、あれは!? 『荒野の聖地』で何かあったのか!?」
「什麼啊,那個是!? 在『荒野的聖地』發生了什麼嗎!?」
街の城壁沿いに建てられた物見の塔や、アルクレム城に詰めていた兵士が声を上げる。
被沿著城鎮城牆興建的瞭望塔及、塞滿阿魯庫雷姆城裡的士兵發出聲音。
アルクレムの将兵で、『荒野の聖地』の重要性を知らない者はいない。オルバウム選王国は勿論、アルクレム公爵家の前身であるアルクレム王国が存在する遥か昔から、『強奪の悪神』フォルザジバルを封印した、『山の神』ボルガドンを祭る神殿があり、封印を守り続けた一族が暮らす場所だ。
在阿魯庫雷姆的官兵裡,沒有不知道『荒野的聖地』的重要性的人。歐魯巴烏姆選王國不用說,從身為阿魯庫雷姆公爵家的前身的阿魯庫雷姆王國存在著的遙遠往昔,就是封印著『強奪的惡神』佛魯扎吉巴路、存在祭祀『山之神』波爾加東的神殿、持續守護著封印的一族生活著的地方。
この十万年の間、フォルザジバルは封印から逃れようと幾度も暴れ、それが地震や魔物の暴走として人々を脅かしてきた。その度に英雄達の奮闘と、人々のボルガドンへの祈りが悪神を抑えこんできた歴史がある。
這十萬年間,佛魯札吉巴路打算從封印裡逃跑暴亂了好幾次,那個作為地震或魔物的暴走威脅著人們。有著每當那個時候英雄們的奮鬥與、人們向波爾加東的祈禱能壓制住惡神的歷史。
「まさか、悪神が暴れているのか!? こんな時に!」
「難道,惡神暴亂了嗎!? 這種時候!」
その歴史は全て、ゼーゾレギンが人々の危機感を煽って祈らせ、信仰心が薄れないようにするための茶番であった事を知らない兵士が悲鳴をあげる。
不知道那個歷史,全部都是杰佐雷金為了煽動人們的危機感使其祈禱、信仰心不會漸漸稀薄的鬧劇的士兵發出了慘叫聲。
だが、その兵士も含めたアルクレムの人々はまだ希望は残っていると思っていた。今までのように『山の神』ボルガドンが、『アルクレム五騎士』のような英雄達が、今回も悪神を抑えこんでくれるはずだと。
但是,包含那位士兵的阿魯庫雷姆的人們也認為還殘留有希望。就像至今為止一樣,『山之神』波爾加東、像『阿魯庫雷姆五騎士』般的英雄們,這次應該也會去壓制住惡神。
だが、煙を蹴散らすように巨大な人影が現れた時、希望は残っていないのだと思い知らされた。
但是,就像踢散煙塵般的巨大人影出現的時候,被迫體會到了已不殘留希望了。
「何だ、あの禍々しい巨人は? あ、あれが悪神、フォルザジバルなのか!?」
「什麼啊,那個不吉利的巨人? 那、那個是惡神、佛魯札吉巴路嗎!?」
「悪神が復活した……お、終わりだ。もう終わりだぁぁぁぁ!」
「惡神復活了……結、結束了。已經結束了啊!」
時間は少々巻戻る。
時間稍微倒轉回去。
神殿が崩壊した事で発生した土煙に、黒い炎に包まれたゼーゾレギンの灰色の姿が消えた。
在因神殿崩壞而產生的飛揚塵土裡,被黑色火焰包裹的杰佐雷金的灰色身姿消失了。
『陛下っ! 倒せませんでした!』
『陛下! 沒能打倒!』
レビア王女の叫び声。それに遅れて【危険感知:死】に反応があり、ヴァンダルーは咄嗟に後ろに下がろうと試みる。
蕾碧亞公主的叫喊聲。而且慢了對【危險感知:死】有反應,范達魯瞬間試圖退到後面。
だが、その前に黒い刃が土煙の向こう側から、ヴァンダルーに向かって突き出された。
但是,在那之前黑色刀刃從飛揚塵土的對面,朝向范達魯刺出來。
「【金剛壁】」
回避が間に合わないと判断したヴァンダルーは、背中から生やした【魔王の節足】を盾にして、盾術を発動し受け止めようとした。
判斷來不及迴避的范達魯將從背後長出的【魔王的節足】當作盾牌,打算發動盾術承受。
しかし、黒い刃は節足を易々と貫いた。【魔王の外骨格】も発動して防御力を高めていたのだが、黒い刃の貫通力はそれも越えていたのだ。
可是,黑色刀刃輕易地貫穿節足。雖然【魔王的外骨骼】也發動提高了防禦力,但黑色刀刃的貫通力也超越了那個。
「……危ないところでした」
「……真是危險」
しかし、刃の勢いは弱まったためヴァンダルーは、首を曲げて刃を回避する事に成功した。そして貫かれた節足を強引に動かし、黒い刃を圧し折った。
可是,因為刀刃的氣勢減弱,范達魯扭過脖子成功迴避了刀刃。然後強行移動被貫穿的節足,折斷了黑色刀刃。
貫通力に優れていた黒い刃だったが、厚みや粘り強さはなく、澄んだ音を立ててすぐ砕け散った。
雖是在貫通力上很出色的黑色刀刃,但沒有厚度或柔韌度,發出清澈的聲音就馬上碎裂四散了。
「これは……何かの結晶?」
「這個是……什麼的結晶?」
『ヴァン君!? 首が凄い事になってるんだけど!?』
『范君!? 脖子變得好厲害就是了!?』
「首の骨を【魔王の骨】にして、形を変えただけなので大丈夫です。【神経】も繋がっていますし」
「將脖子的骨頭化為【魔王的骨頭】,由於只是改變形狀不要緊。【神經】也連接著」
首を強引に伸ばして、頭部を横にずらしたヴァンダルーは、オルビアにそう答えながら元の場所に自分の首を戻した。
強行伸展脖子,將頭部挪到旁邊的范達魯,一邊如此回答歐露畢亞一邊讓自己的脖子回到原來的地方。
『ククク、奪われたスキルを新たに習得しなおしたようだが、どうやらレベルが低すぎて、発揮できる効果に限界があるようだな』
『庫庫庫,雖然好像重新新學會被奪走的技能,但看來等級太低,能發揮的效果似乎有極限呢』
それに合わせたように土煙が晴れ、文字通りに山のような巨体に変化したゼーゾレギンが姿を現す。
然後飛揚塵土像是配合般放晴了,變化成如同字面上像山般的巨大身體的杰佐雷金顯現出身姿。
『我の攻撃に貴様が気づくのが遅れ、我の【欠片】の攻撃が、貴様の【欠片】の防御を易々と貫いた。
『你小子注意到吾之攻擊慢了,吾之【碎片】的攻擊輕易地貫穿了你小子的【碎片】的防禦。
これは【魔王】スキルのレベルの差、【欠片】の力を我の方がより引き出しているという事に他ならん!』
這就是【魔王】技能的等級差,無非就是所謂吾這邊還比較能引出【碎片】的力量。』
ゼーゾレギンは約百メートルの巨体と化しただけではなく、背中と腕に水晶のような結晶が生え、その全身がしっとりと濡れていた。
杰佐雷金並非只是化身為大約一百公尺的巨大身體,在背後和手臂上都長著水晶般的結晶,那個全身潮濕濕潤。
「あの水晶のようなものは、魔王の水晶とか結晶とか、そんな欠片でしょうか? それと、肌のぬめりは【魔王の汗腺】ですか。そしてあの巨体は……やはり【筋肉】? いやいや、冷静さを保たなくては」
「那個水晶般的東西,是魔王的水晶或結晶、那種碎片對吧? 還有,肌膚的滑溜是【魔王的汗腺】嗎。然後那個巨大身體……果然是【肌肉】? 不對不對,必須保持冷靜」
だがヴァンダルーは冷静にゼーゾレギンが使っている欠片の分析を行っていた。
但是范達魯冷靜地進行著杰佐雷金使用著的碎片的分析。
黒い刃は、水晶のような物の一部を伸ばしたもの。レビア王女が変化した黒い炎に耐えられたのは、【魔王の汗腺】で流した汗が熱から身体を守ったためだろう。
黑色刀刃是讓像水晶般的東西的一部分延伸的東西。能忍受蕾碧亞公主變化成的黑色火焰,是因為用【魔王的汗腺】流出的汗從熱中保護了身體吧。
そして筋骨たくましい体つきに変化し、更に巨大化した理由は、【魔王の筋肉】を発動したからではないだろうかと推測しつつも、冷静さを保とうと自分に言い聞かせる。
然後一面推測變化成筋骨健壯的體格、更加巨大化的理由並不是因為發動了【魔王的肌肉】吧,一面對己勸說保持冷靜。
『……どうした? 【魔王の欠片】同士のぶつかり合いで負けたのが、そんなに衝撃的だったか?』
『……怎麼了? 【魔王的碎片】們的互相衝撞輸了,是那麼樣地具衝擊性嗎?』
ヴァンダルーの独り言が聞こえなかったのか、ゼーゾレギンがそう言いながらニヤリと笑う。
是沒聽到范達魯的自言自語嗎,杰佐雷金一邊如此說著一邊奸笑著。
『ならば、もう一度味わうがいい!』
『那樣的話,再品味一次就好了!』
そう叫ぶと腕を横なぎに振るう。それに合わせて、腕に生えていた結晶が一枚の刃のように閃き、ヴァンダルー達を襲う。
如此叫喊後揮舞橫掃手臂。並且配合著,長在手臂上的結晶像是一枚刀刃閃爍,襲擊范達魯他們。
「いえ、一度で結構」
「不,一次就夠了」
だが、今度は視界を覆う土煙はない。ヴァンダルーは魂を実体化させて纏う、【魂格滅闘術】を発動し、グファドガーンと共に後ろに飛びのいた。
但是,這次沒有覆蓋視野的飛揚塵土。范達魯讓靈魂實體化纏繞,發動【魂格滅鬪術】,與古法德岡一起在後面跳躍著。
それに一瞬遅れて結晶の巨大刃が振るわれ、大地に一直線な傷を残した。
並且晚了一瞬間的結晶的巨大刀刃被揮舞著,在大地上遺留下一直線的傷痕。
『アルダのダンジョンで使ったスキルか!』
『在阿魯達的迷宮裡使用的技能嗎!』
【魔王の欠片】が融合した魂を実体化させ、身体に纏うスキル。ゼーゾレギンは、それについて己の御使いから聞いていた。
讓融合【魔王的碎片】的靈魂實體化,纏繞於身體上的技能。關於那個杰佐雷金有從自己的御使那聽到。
『だが、以前程力を発揮できてはいないようだ。まるで普通の甲冑のようではないか!』
『但是,似乎沒能發揮以前程度的力量。簡直不就像普通的甲冑嗎!』
ハインツとの戦いで見せた異形とは違い、【魂格滅闘術】を発動したヴァンダルーの姿はすっきりとしていた。
與在跟海恩茲的戰鬥裡看過的異形不同,發動【魂格滅鬪術】的范達魯的身姿非常流暢。
それをゼーゾレギンは、【魔王】スキルのレベルが大幅に下がったため、ヴァンダルーは欠片の力を使いきれていないのだと推測した。
杰佐雷金將那個推測為,因為【魔王】技能的等級大幅下降,范達魯無法完全使用碎片的力量。
これなら勝てる。欠片の数では敵わないが、欠片に秘められた本来の力を……いや、もしかしたら本来以上の力を発揮させる事が出来ている今なら、確実に。
這樣的話能贏。雖以碎片的數量敵不過,但將被隱藏在碎片上的本來的力量……不,或許能讓本來以上的力量發揮,現在的話確實如此。
『その鎧と肉体、どちらも砕いてくれる! 【大地破斬】! 【毒炎の舌】! 【斬空】!』
『那副鎧甲與肉體,哪邊都會給予粉碎! 【大地破斬】! 【毒炎之舌】! 【斬空】!』
ヴァンダルーとグファドガーンを追って、地面から鉱物で出来た刃が、ゼーゾレギンの胴体についた口から毒々しい色の炎で出来た舌が出現し、結晶の刃を振るった腕が斬撃を飛ばす。
追著范達魯與古法德岡,以來自地面的礦物完成的刀刃與,以來自附著於杰佐雷金的軀體上的嘴巴的有毒色澤的火焰完成的舌頭出現了,揮舞著結晶的刀刃的手臂射出斬擊。
「吸魔の――いや、ダメだ」
「吸魔的――不,不行」
ゼーゾレギンの魔術を打ち消すため、結界を張ろうとしたヴァンダルーだったが、それを中止して回避に専念する。
為了消除杰佐雷金的魔術,打算張開結界的范達魯,中止了那個專心於迴避上。
大地の刃が鎧を掠り、毒の炎を【消毒】でただの炎に変えて対応する。もし【吸魔の結界】を使っていたら、足が止まり、その後に飛んできたゼーゾレギンの【斬空】によって切り裂かれていただろう。
大地之刃掠過了鎧甲,將毒之炎以【消毒】變成僅僅是個火焰來對應。如果使用【吸魔的結界】的話,會停下腳步,在那之後會根據飛過來的杰佐雷金的【斬空】被切開來吧。
「しかし、【魔王の欠片】を使いながら属性魔術を使うとは、驚きました」
「可是,以一邊使用【魔王的碎片】一邊使用屬性魔術來說,很吃驚」
【魔王の欠片】を発動すると、死属性以外の属性魔術は使えなくなる。欠片に宿る、魔王グドゥラニスの魔力の影響でそうなるようなのだが、ゼーゾレギンは地属性と火属性の魔術を発動していた。
發動【魔王的碎片】後,會變得無法使用死屬性以外的屬性魔術。雖然因寄宿在碎片上的魔王古都拉尼斯的魔力影響好像會變成那樣,但杰佐雷金發動著地屬性和火屬性的魔術。
『もしや、奴はヴァンダルー様のように属性ゴーストを連れているのでしょうか?』
『或許,那傢伙像范達魯大人一樣帶著屬性幽靈嗎?』
ただ、ゴーストに魔力を渡して発動して貰う死霊魔術や神霊魔術は【魔王の欠片】を発動していても、使う事が出来る。
只是,交付魔力請幽靈發動死靈魔術或神靈魔術,就算發動【魔王的碎片】也能使用。
魔術を使うのは魔力を受け取ったゴースト自身で、欠片の使用者ではないからだ。
因為使用魔術的是接受魔力的幽靈本身,並非是碎片的使用者。
ゼーゾレギンも同じではないかと、光属性のゴーストであるチプラスが推測するがヴァンダルーは首を横に振った。
杰佐雷金是不是也一樣呢,身為光屬性的幽靈的奇普拉斯雖如此推測,但范達魯左右搖了搖頭。
「ゴーストの姿は見えませんでした。他の仕掛けでしょう」
「沒有看到幽靈的身姿。是其他的裝置吧」
「恐らく、奴が二柱の神を吸収した事が理由かと。【魔王の欠片】の影響を一つの魂に集中させ、残り二つの魂で術を唱えているのでしょう」
「恐怕,那傢伙吸收了兩柱的神明是理由吧。讓【魔王的碎片】的影響集中到一個靈魂上,以剩下的兩個靈魂詠唱法術吧」
グファドガーンの推測が、ほぼ真実を言い当てていた。ゼーゾレギンは欠片の副作用をフォルザジバルに担当させていた。そして自身の属性である火属性魔術を自分が、地属性魔術はボルガドンを利用して唱えている。
古法德岡的推測幾乎說中事實。杰佐雷金讓佛魯札吉巴路擔任著碎片的副作用。然後將自身屬性的火屬性魔術由自己,地屬性魔術利用波爾加東來詠唱著。
ヴァンダルーのように魂が奇怪な構造をしている訳ではなく、複数の魂を吸収同化した結果自身の物として操っているゼーゾレギンだからこそ出来る芸当であり、彼が【魔王の欠片】を使う上で優れた資質を持っている証拠と言える。
並非是像范達魯般靈魂有著奇怪的構造,正因為是操作著將複數的靈魂吸收同化的結果作為自身的東西的杰佐雷金才能做到的絕技,可以說是他在使用【魔王的碎片】上擁有著出色的資質的證據。
恐らく、山のように巨大化したのも自身の力ではなく、吸収したボルガドンの力によるものだろう。
恐怕,像山般的巨大話也並非是自身的力量,而是根據吸收了的波爾加東的力量吧。
『【毒炎弾】! 【散弾打ち】!』
『【毒炎彈】! 【散彈射擊】!』
しかも、ゼーゾレギンは魔術の後必ず【魔王の欠片】を使った武技を放ってくる。ヴァンダルーが足を止めて結界を張って魔術を防いだら、武技で結界を破って攻撃する作戦なのだろう。
而且,杰佐雷金在魔術之後必定會放出使用【魔王的碎片】的武技。是范達魯停下腳步張開結界抵禦魔術的話,就用武技打破結界的攻擊作戰吧。
今も毒々しい色をした炎の弾丸を口から吐き、その後【魔王の結晶】を急成長させ、結晶の欠片に【投擲術】の武技を使い、ヴァンダルー達に向かって乱射している。
現在也從嘴吧吐出有著有毒色澤的火焰子彈,那之後讓【魔王的結晶】急速成長,對結晶的碎片使用【投擲術】的武技,朝向范達魯他們亂射著。
今のゼーゾレギンの大きさは、約百メートル。毒炎の球体も、結晶の欠片も尋常な大きさではない。
現在的杰佐雷金的大小大約一百公尺。毒炎的球體或、結晶的碎片都並非是普通的大小。
その分狙いが甘いのか、毒炎や結晶の弾はヴァンダルー達に回避され、地面に激突し爆発していた。
那部分的狙擊太天真了嗎,毒炎及結晶的子彈被范達魯他們迴避,猛撞地面爆炸了。
その狙いの甘さと、ゼーゾレギンが巨大化した事で小回りが利かなそうに見えるのを利用して、懐に飛び込み攻撃を叩きつけるのが、最も効果的な作戦に思える。
利用那份狙擊的天真和、杰佐雷金看起來因巨大化而似乎不能隨機應變,跳進懷裡將攻擊猛烈打進去,是認為最有效果的作戰。
実際、ヴァンダルーが今発動している【魂格滅闘術】は【格闘術】の上位スキルだ。遠距離戦より接近戦に向いている。
實際上,范達魯現在發動著的【魂格滅鬪術】是【格鬥術】的上位技能。比遠距離戰更傾向接近戰。
そして、冒険者が巨大な魔物と戦う際のセオリーでもあった。
然後,也有冒險者與巨大的魔物戰鬥之際的理論。
「如何いたしますか?」
「要怎麼做呢?」
「では、このまま遠距離戦を続けましょう。……なんだか接近戦をするよう、誘っているように見えますし」
「那麼,就這樣繼續遠距離戰吧。……總覺得是要做接近戰,看起來像是在邀請般」
そう言ってセオリーを無視したヴァンダルーは、両拳をゼーゾレギンに向け、【魔王の角】や【魔王の血】で拳をドリル状の突起で包む。
如此說著無視了理論的范達魯,將雙手朝向杰佐雷金,將拳頭用【魔王的角】及【魔王的血】以鑽頭狀的突起包覆著。
「【黒炎憑依】、【冥雷憑依】、そして【ロケットパンチ】」
「【黑炎憑依】、【冥雷憑依】,然後【火箭飛拳】」
更にレビア王女の炎とキンバリーの雷をそれぞれ付与し、手首から先を射出した。
並且各自賦予了蕾碧亞公主的火焰和金巴利的雷,發射出從手腕開始的前方。
『もう一回行きまーす!』
『再進行一回!』
『ヒャハハハ!』
『吓哈哈哈!』
真っ直ぐ自分に向かって飛んでくるヴァンダルーの両拳に気がついたゼーゾレギンは、反射的にそれを喰らって【吸収同化】を使い、更にスキルを奪おうかと思った。
注意到筆直朝向自己飛過來的范達魯的雙拳的杰佐雷金,反射性地使用吃掉那個的【吸收同化】,並且還想著能奪走技能嗎。
『っ!? 罠か! 【超即応】!』
『!? 陷阱嗎! 【超適應】!』
だがヴァンダルーが飛ばした両拳に、彼の両手首から先が入っているとは限らない。魂だけを飛ばしている可能性が高いと気がついた彼は、何とか回避しようと反応速度を上げる武技を発動させて、巨体の関節をぐにゃりと捻じ曲げて回避を試みる。
但是范達魯射出的雙拳,未必會從他雙手腕開始的前方進入。注意到射出只有靈魂的可能性很高的他,想辦法打算迴避讓提高反應速度的武技發動,讓巨大身體的關節軟綿扭曲試圖迴避。
それはギリギリ間に合い、回避は成功したが――。
那個勉勉強強趕上,迴避雖成功了――。
「アイラ、氷の壁を」
「愛菈,冰之壁」
『はいっ、ヴァンダルー様♪』
『是的,范達魯大人♪』
ヴァンダルーの影から上半身を出したアイラが、水属性魔術で氷の壁を作り出す。
從范達魯的影子裡探出上半身的愛菈,用水屬性魔術製作出冰之壁。
「三連【滅輝線】」
その氷の壁の向こうのゼーゾレギンに向かって、光線に姿を変えたチプラス、ダローク、ベールケルトが、氷の壁に、その向こうにそびえるゼーゾレギンの巨体へと飛び込んでいく。
朝向那面冰之壁的對面的杰佐雷金,身姿變化成光線的奇普拉斯、達洛克、貝魯可魯特,往聳立在冰之壁、那個對面的杰佐雷金的巨大身體跳了進去。
氷の壁がレンズの役割を果たし、収束し威力を増した光線が、ゼーゾレギンに迫る。
冰之壁起到透鏡的作用,收束增加威力的光線,迫近杰佐雷金。
『見え透いた術だ』
『顯而易見的策略』
だが、ゼーゾレギンは【魔王の結晶】で盾を形成。それで光線となった三人を歪曲させ、身体から逸らす事に成功する。
但是,杰佐雷金用【魔王的結晶】形成盾牌。因此讓化為光線的三人歪曲,成功從身體偏移開。
ヴァンダルーが【魔王の眼球】と、【発光器官】を使った怪光線を放つ事を知っていたゼーゾレギンは、光線への対策も用意していたのだ。
知道范達魯會使用【魔王的眼球】和、【發光器官】釋放怪光線的杰佐雷金,也準備了對光線的對策。
ヴァンダルーが胴体に、巨大な【魔王の眼球】を出現させ、その虚ろな瞳が怪しく光るのを見た時も、先程と同じように反らして回避しようとした。
范達魯讓巨大的【魔王的眼球】出現在軀體上,看到那空虛的瞳孔可疑的發光的時候,也與剛才一樣打算向後仰來迴避。
「アイラ、氷の壁を貰いますね」
「愛菈,收到冰之壁了呢」
だが、ヴァンダルーは巨大眼球から光線を放つ前に、氷の壁の形を【ゴーレム創成】で変化させる。
但是,范達魯在釋放來自巨大眼球的光線之前,用【哥雷姆創成】讓冰之壁的形狀產生變化。
その結果、放たれた怪光線は氷の壁で拡散。それぞれ異なる軌道の光線となって、ゼーゾレギンに降り注ぐ。
那個結果,被釋放的怪光線因冰之壁而擴散。化為各自相異的軌道的光線,降臨到杰佐雷金上。
『グアアアアアアっ!? ガハァ!?』
『咕啊啊啊啊啊啊!? 嘎哈!?』
結晶の盾で幾つかは逸らせたが、数十に拡散した光線の全てを回避する事は出来ず、怪光線に焼かれ苦痛に叫ぶゼーゾレギン。
雖用結晶之盾偏開了幾個,但無法迴避數十道擴散開來的光線的全部,被怪光線燒灼痛苦地叫喊著的杰佐雷金。
その背に、【群体操作】で操られて戻ってきたヴァンダルーの両拳が突き刺さり、炎と電撃によって肉を焼く。
在那背上,被用【群體操作】操作回歸的范達魯的雙拳札刺進去,經由火焰與電擊燒烤著肉。
約百メートルの山のような巨体に対して拡散された怪光線とヴァンダルーの両拳は、あまりにも小さい。しかし、ヴァンダルーは【神喰らい】スキル等を所持している、山も崩す力量の持ち主だ。
相對於大約一百公尺的山般的巨大身體,被擴散的怪光線和范達魯的雙拳過於細小。可是,范達魯是攜帶著【神噬】技能之類,能粉碎山的力量的擁有者。
攻撃によってもたらされた痛みは、ゼーゾレギンに危機感を覚えさせるほど大きかった。
經由攻擊被帶來的疼痛,是讓杰佐雷金感到危機感那樣的大。
(あの両拳はやはり外側だけか。【魔王】スキルでも魂は喰えない……魂を喰う、滅ぼすスキルは別にあるのか。
(那雙拳果然只有外側嗎。即便是用【魔王】技能也吃不到靈魂……噬魂,毀滅的技能存在別種的嗎。
それよりも、奴は接近戦を避けている。近づけば【魔王の刺胞】で刺し貫き、毒が効かなくてもそのまま【吸収同化】したものを)
比起那些,那傢伙在避開接近戰。接近的話就用【魔王的刺胞】刺穿,就算毒無效也能就那樣【吸收同化】掉)
ゼーゾレギンは【魔王の欠片】の一つ、クラゲ等が触手に持つ器官と似た【魔王の刺胞】を持っていた。こうして巨大化しなければ、目に見えない程小さな針で触れた者に毒を注入するしか能のない欠片だ。
杰佐雷金擁有著【魔王的碎片】之一,與水母之類擁有觸手的器官相似的【魔王的刺胞】。若不這樣巨大化的話,就只是有能用眼睛看不到的細小針將毒注入被觸碰者的能力的碎片。
だが、今のゼーゾレギンの身体の大きさなら、触れた者の手足を貫いて動きを止める事が出来る。その隙にまたスキルを奪い、自身の強化とヴァンダルーの弱体化を同時に狙っていたのだが……。
但是,如果是現在的杰佐雷金的身體的大小,能做到貫穿被觸碰者的手足停止行動。趁那空隙再次奪走技能,同時狙擊著自身的強化和范達魯的弱體化就是了……。
(こうなれば、仕方あるまい。どの道、口封じはするつもりだったのだ)
(變成這樣的話,就沒辦法了。是打算在哪條路上滅口啊)
ゼーゾレギンはヴァンダルーに、そしてその向こうにあるアルクレムの街へ向かって両腕を広げた。その腕と胸部に、大小の黒い結晶が無数に生じる。
杰佐雷金朝向范達魯、還有在那個對面的阿魯庫雷姆之城張開雙臂。在那手臂和胸部上,生成無數大小的黑色結晶。
『避けたければ避けるがいい! 街の人間共がどうなるかは知らぬがな! 【乱れ打ち】!』
『想避開的話就避開吧! 城鎮的人類不知道會變成怎樣呢! 【混亂射擊】!』
そして黒い結晶を、筋力と【投擲術】の武技で射出した。
然後將黑色結晶,用筋力和【投擲術】的武技射出去。
【投擲術】スキルは大した事はないが、【魔王の筋肉】で撃ちだした【魔王の結晶】だ。ここからアルクレムの街まで数キロの距離があるが、まず届くだろう。
【投擲術】技能雖沒什麼大不了,但用【魔王的肌肉】開始射擊【魔王的結晶】。從這裡開始到阿魯庫雷姆之城雖有數公里的距離,但大概會到達吧。
これだけの結晶を広範囲に撃ち出したのだ。何時の間にか姿を消したグファドガーンが、空間を捻じ曲げたとしても、半分以上は防ぎきれないはずだ。
將這些結晶廣範圍地射擊出去。就算不知不覺間消去身姿的古法德岡打算扭曲空間,應該也防不住一半以上。
その半分以上を何らかの方法で防ぐため、ヴァンダルーが何かをするはず。ゼーゾレギンはその隙を突くつもりだった。
為了用某些方法防禦那一半以上,范達魯應該會做些什麼。杰佐雷金打算攻擊那個空隙。
勿論、ヴァンダルーがアルクレムの街を見捨てる可能性はある。その場合街に大きな被害が出る事も分かっている。
不用說,范達魯有拋棄阿魯庫雷姆之城的可能性。也明白那個狀態會在城鎮上出現巨大的受害。
手塩にかけて増やしてきた人間達が、大幅に減るのは惜しい。だが、ヴァンダルーに勝たなければ未来はないのだ。
一手拉拔增加起來的人類們,大幅減少很可惜。但是,若不能贏過范達魯的話就沒有未來。
「まあ、そう来るでしょうね。ファイエル」
「算了,是會這樣過來呢。射擊」
そしてヴァンダルーは、ゼーゾレギンの良心を信用していなかったため、彼が街を巻き込む手段を取っても動揺せず、背中から砲身を生やし、上空に向かって【魔王の卵管】で創りだした卵を連続で撃ち出した。
然後因為范達魯無法信任杰佐雷金的良心,他就算採取將城鎮捲進來的手段也毫不動搖,從背後生出砲身,朝向上空連續射擊出用【魔王的卵管】創造出來的蛋。
卵は結晶に触れる前に殻が弾け、中から粘着力のある糸が空中に広がり、結晶を絡めとる!
在蛋被結晶碰到前殼就裂開,有著黏著力的絲線從裡面擴散到空中,捆住了結晶!
『馬鹿な!? そんなか細い糸で結晶を!?』
『怎麼可能!? 用那樣細的線將結晶給!?』
これまでの糸なら、容易く千切られていたかもしれない。だが、撃ち上げた卵の中に入っていたのは、【魔王の絹糸腺】で作った糸だ。空一面に薄く広がっていたとしても、そう簡単には千切れない。
若是在此之前的線,很容易被切碎也說不定。但是,放入打上去的蛋裡面的是,用【魔王的絹絲腺】製作的線。就算薄薄攤滿整片天,也無法如此簡單被切碎。
そして糸に纏まり、勢いが削がれた結晶は、街の遥か手前に落下する。最大十メートル程の結晶塊が落下したため、大きな音が響き落下地点の風景が一変するだろうが……荒野なので被害者は出なかったようだ。
然後纏繞於線上,氣勢被削減的結晶在城鎮的遙遠跟前掉下來。因為最大十公尺左右的結晶塊掉下來,響起巨大聲音的落下地點的風景雖會為之一變……但由於是荒野似乎沒有出現受害者。
そして、ゼーゾレギンはヴァンダルーの隙を突くどころか、驚愕によって逆にヴァンダルーへ隙を晒してしまう。
然後,杰佐雷金豈止是攻擊范達魯的空隙,由於驚愕反過來將空隙暴露給范達魯了。
「グファドガーン、準備は?」
「古法德岡,準備呢?」
「たった今、完了いたしました」
「就在剛才,完畢了」
グファドガーンが再び姿を現すと、【転移門】が開き、そこから黒い砲台が三門姿を現す。
古法德岡再次顯現身姿後,打開【轉移門】,從那裡出現三門黑色砲台的身影。
『『『照準、良―し』』』
『『『瞄準、良好』』』
『『『撃つ!』』』
『『『射擊!』』』
「【虚砲】」
モークシーの町の自宅地下室に創ったダンジョンに設置した、砲台型と砲弾型使い魔王をグファドガーンが連れて来たのだ。
古法德岡將設置在創造於摩庫希之城自家地下室的迷宮裡,砲台型和砲彈型的使魔王帶過來了。
轟音を立てて砲台型使い魔王から、砲弾型使い魔王がゼーゾレギンに向けて撃ちだされ、ヴァンダルー本体からも、【虚王魔術】の【虚砲】が放たれる。
經由發出轟鳴聲的砲台型使魔王,砲彈型使魔王朝向杰佐雷金被射擊出去了,【虛王魔術】的【虛砲】也從范達魯本身被釋放。
『馬鹿な!? 貴様は欠片を使いこなせないのではなかったのかぁぁぁぁ!?』
『怎麼可能!? 你小子不是不能將碎片運用自如嗎!?』
隙を見せていたゼーゾレギンに意志を持つ砲弾型使い魔王を回避する事は出来ず、結晶で防具を作ろうとするも間に合わず、砲弾が灰色の巨体に命中し次々に大爆発を起こし、【虚砲】によって胸板を貫かれる。
顯露空隙的杰佐雷金無法迴避擁有意志的砲彈型使魔王,打算用結晶製作防具也趕不上,砲彈命中灰色的巨大身體連續不斷地引發大爆炸,胸膛經由【虛砲】被貫穿。
体勢が崩れ、地響きを立てながらゼーゾレギンが背後に向かって倒れ、その姿が急激に萎んでいく。
姿勢崩潰,一邊發出地鳴杰佐雷金一邊朝向背後倒下,那副身姿急遽地逐漸萎縮。
『あああああ! おのれっ! 何故だ!? スキル以前に、貴様の方が欠片との相性が良いとでも言うつもりか!?』
『啊啊啊啊啊! 你這傢伙! 為何啊!? 是打算說技能在以前就是你小子那邊與碎片的相性較好嗎!?』
そして元の人間大のサイズに戻ったゼーゾレギンは、怒りの声をあげながら【魔王の結晶】で盾と剣を作り出す。
然後回到原本人類大的尺寸的杰佐雷金,一邊發出憤怒的聲音一邊用【魔王的結晶】製作出盾與劍。
「そんな事を言うつもりはありません。単に、魔力が俺の方が多いだけでしょう」
「沒打算說那種事情。僅僅只是魔力是我這邊比較多吧」
魔王の欠片を使うには、多大な魔力を消費する。しかし、ヴァンダルーの神から見ても莫大過ぎる魔力は、その消費量を賄うのに十分な量だ。
在使用魔王的碎片上,要消費極大的魔力。可是,范達魯的就算從神來看也是過於巨大的魔力,要供給那些消費量卻是充足的量。
実際、比べて見ればゼーゾレギンよりもヴァンダルーの方が魔力は上だ。
實際上,試著比較的話比起杰佐雷金還是范達魯那邊魔力更高。
『魔力の大きさだけでこれ程の差になる訳がない。やはり、貴様の全てを喰らい、我がものとしなければ魔王への道は開かれんようだ! 御使い共よ! 我が寄り代に宿れ!』
『就只是魔力的大小才不會成為這種程度的差距。果然,若不將你小子的一切都吃掉化為吾之物的話,是無法打開通往魔王的道路的! 御使們喔! 寄宿到吾之憑依上!』
呼び寄せておいた自身の御使い達を、寄り代に宿らせて【御使い降臨】と同じ効果……【多重御使い降臨】とでも呼ぶべき状態にすると、鋭い踏み込みでヴァンダルーに向かって斬り込んできた。
將事先招集來的自己的御使們寄宿到憑依上,成為與【御使降臨】同樣效果……應該稱呼為【多重御使降臨】的狀態後,能以猛烈的踏入朝向范達魯砍進去。
『【硬質化】! 【毒炎付与】! 【閃光百閃】!』
『【硬質化】! 【毒炎賦予】! 【閃光百閃】!』
「【超即応】、【百烈突き】、【虚弾】」
「【超適應】、【百烈突刺】、【虛彈】」
ゼーゾレギンが付与魔術を自身に掛け、結晶の剣を素早く振るう。ヴァンダルーは反射速度を上げ、両腕と背中から生やした【魔王の節足】でゼーゾレギンと攻撃の応酬を繰り広げ、【虚弾】で反撃する。
杰佐雷金將賦予魔術施在自身上,快速地揮動結晶之劍。范達魯提高反應速度,用從雙臂和背後長出的【魔王的節足】展開與杰佐雷金的攻擊應對,用【虛彈】反擊。
『オオオオ!』
『喔喔喔喔!』
外見は元通りだが、先程までの傷が回復した訳ではないらしく、【虚弾】を弾いた瞬間、結晶の盾に大きくひびが入り、ゼーゾレギンの動きは次第に鈍くなって行く。
雖然外表是原樣,但到剛才為止的傷口似乎並沒有回復,彈開【虛彈】的瞬間,大大的裂縫加到結晶之盾上,杰佐雷金的行動逐漸依序變遲鈍。
「【魔王の顎】」
「【魔王的下顎】」
そろそろだと判断したヴァンダルーは、【魔王の顎】で牙が生えた巨大な顎を出現させ、ゼーゾレギンの上半身を飲み込むように噛みついた。
判斷差不多了的范達魯,用【魔王的下顎】讓長著牙齒的巨大下顎出現,像是要將杰佐雷金的上半身吞進去般咬下去。
ヴァンダルーに上半身を噛みつかれた瞬間、ゼーゾレギンは体内に吸収していた『強奪の悪神』フォルザジバルを分離して、解放した。
被范達魯咬住上半身的瞬間,杰佐雷金將吸收在體內的『強奪的惡神』佛魯札吉巴路分離掉,解放了。
ただ、ヴァンダルーの顎の中に。
只是,在范達魯的下顎裡面。
(これで、喰ったのは我だと偽装できるはずだ)
(這樣應該就能偽裝吃掉的是我了)
ゼーゾレギンは、フォルザジバルの魂を犠牲にして逃げ延びようとしていた。ついでに見せた【魔王の欠片】もつけて。
杰佐雷金是打算犧牲佛魯札吉巴路的靈魂來逃脫掉。順便展現的【魔王的碎片】也裝上。
自分はヴァンダルーから奪った【魔王】と【冥王魔術】スキル、そして使わなかった【魔王の刺胞】を持って、潜伏するつもりだ。
自己帶著從范達魯那奪走的【魔王】和【冥王魔術】技能、還有沒能使用的【魔王的刺胞】,打算潛伏。
彼は人間大のサイズに戻った時点で、ヴァンダルーに勝つ事を諦めていた。そして、このまま滅びるよりはどんなに望みが薄くても、潜伏しチャンスを待つ事を選んだのだ。
在他回到人類的尺寸的時間點上,就放棄贏過范達魯了。然後,比起就這樣滅亡無論期望如何稀薄,也選擇了潛伏並等待機會。
そのチャンスが、魔王になるためのものなのか、この世界から逃げ出すためのものなのかは、彼自身もまだ分からないが。
那個機會是為了成為魔王的東西嗎,還是為了從這個世界逃出去的東西呢,他自己也還不知道就是了。
(今はとにかく、この場から離れなければ――)
(現在不管怎樣,若不從這個地方離開――)
(その案には断固反対だ、我よ)
(對那個方案毅然反對,吾喔)
その時、ゼーゾレギンの精神に自らの思考以外の声が響いた。
那個時候,在杰佐雷金的精神裡響起自己的思考以外的聲音。
(何者だ!?)
(什麼人!?)
(何を言っている? 我が我以外の何者だと言うのだ。我は、我の一部)
(在說什麼? 是說吾是吾以外的什麼人啊。吾是,吾的一部分)
(馬鹿な……! 我の精神に、異なる人格や思考は存在しない!)
(怎麼可能……! 在吾的精神裡,不存在不同的人格及思考!)
(存在する。我が求め、配下に奪わせ、同化したのではないか)
(存在的。吾之所求,不是讓屬下搶奪、同化了嗎)
ゼーゾレギンは自分であって自分ではない心の声に混乱しながらも、その正体に思い至った。
杰佐雷金儘管因存在於自己體內並非是自己的心之聲混亂,卻也想到了那個原形。
(貴様は、【魔王】スキル? 馬鹿な、スキルが人格を持つ等、擬態人間達からは聞いた事がないぞ!)
(你小子是【魔王】技能? 怎麼可能,技能擁有人格之類,沒有從擬態人類那聽過)
(そう、我は【魔王】スキルであり、【冥王魔術】。正確に言うなら、スキルが刻まれた部分のヴァンダルーの魂の一部だった、我が吸収同化した薄皮一枚だ)
(沒錯,吾是【魔王】技能,【冥王魔術】。正確來說的話,被刻上技能的部分是范達魯的靈魂的一部分,吾是吸收同化了的薄皮一張)
(ヴァンダルーの魂の一部! 確かに、スキルは魂に刻まれる物だが……吸収同化したスキルに人格が宿っていた事は、今まで一度もなかった。……奴が魔王だからか? それとも亜神だからか!? 特殊な魂の形をしているからなのか!?)
(范達魯的靈魂的一部分! 的確,技能雖然是被刻在靈魂上的東西……吸收同化了的技能裡寄宿著人格的事,至今一次都沒有。……因為那傢伙是魔王嗎? 還是說因為是亞神呢!? 是因為有著特殊的靈魂型狀嗎!?)
(我よ、それは我にも分からない。強いて言えば、その全てだろう)
(吾喔,那個吾也不明白。硬要說的話,是那個全部吧)
淡々と答える声に、ゼーゾレギンは寒気を覚えた。得体の知れない存在に、侵食されているような悍ましい気分を覚える。
杰佐雷金對淡淡回答的聲音趕到了寒氣。對不可捉摸的存在,感到被侵蝕般的討厭的氣氛。
同時に、自分が勝てなかった答えが、これなのではないかと思いついた。
同時想到了,自己無法獲勝的答案不就是這個嗎。
(貴様、ヴァンダルーを勝たせるために我が不利になるように――)
(你小子,為了讓范達魯獲勝而變得對吾不利――)
(それは誤解だ、我よ。我は我の一部。我が魔王になるために、全力を尽くしたではないか。元が誰のスキルであっても、吸収同化で自らのものと出来る。それが『共食いの邪悪神』である我の力だろう?)
(那是誤解,吾喔。吾是吾的一部分。吾為了成為魔王,不是竭盡全力了嗎。即便原來是誰的技能,也能因吸收同化而成為自己的東西。那就是身為『共食的邪惡神』的吾的力量吧?)
そう指摘され、確かにそうだとゼーゾレギンは納得した。それはつまり、戦いに負けたのは自分の方が弱かったからだという事になるがそれはいい。今は生き残る事が最優先――待て、この声は何故生き残る事を最優先にする事に異を唱えたのだ?
被如此指責,杰佐雷金認同的確如此。那也就是說,雖會變成名為因為在戰鬥上輸掉是自己那邊比較弱但那樣就好。現在保住性命最優先――等下,這個聲音為何會對最優先保住性命這事唱反調?
そもそも、なぜ急に話しだした?
說起來,為何突然開始說話了?
その時、ゼーゾレギンは自らが致命的な失敗をしてしまった事に思い至った。
那個時候,杰佐雷金想到自己做出了致命性的失敗的事。
(その通りだ、我よ。我は既に『共食いの邪悪神』ではない。何故なら、先程我自身の意志でフォルザジバルを切り捨てたのだから。そのため、スキルを奪い我がものとする能力も失われました。
(就是那樣,吾喔。吾已然不是『共食的邪惡神』。原因,是因為剛才以吾自身的意志割捨掉佛魯札吉巴路。因此,作為奪走技能的吾之東西的能力也喪失了。
人質として使えるし、また人々から信仰を集める機会もあるかもしれないと、ボルガドンの方を温存した気持ちも分かりますけどね)
也有做為人質使用,再次從人們那收集信仰的機會也說不定的話,溫存波爾加東那邊的心情也能明白就是了呢)
話している内に口調が丁寧だが平坦なものに、声が声変わり前の少年のものに変わっていく。
明明在說話的期間內語氣是謹慎平坦的,但聲音卻逐漸變成變聲前的少年。
(ですが、こうなった以上、俺が望む事は何か。分かりますよね?)
(不過,既然變成這樣,我期望的事是什麼呢。能明白吧?)
(よ、よせ! 止めろ!)
(停、停止! 住手!)
(精神力で止めようとしても無理ですよ。何故なら俺はおまえの魂と融合しているのですから。魂に逆らえるわけがないでしょう?)
(就算打算用精神力阻止也不可能喔。原因是因為我與你的靈魂融合了。並不能違背靈魂對吧?)
魂を喰った手応えと味、そして幾つかの魔王の欠片を手に入れた事をヴァンダルーは理解するが、奪われたスキルは戻らなかった。
范達魯雖理解噬魂的反應和味道,還有得到幾個魔王的碎片的事,但被奪走的技能沒有回來。
「【魔王の筋肉】が手に入ったのは朗報ですが……スキルはまた時間をかけて覚えなおしましょう」
「雖然得到【魔王的肌肉】是喜訊……但技能要再次花時間記住吧」
『陛下……』
『陛下……』
『う゛ぅ~』
『嗚~』
【冥王魔術】スキルが戻らなかった事を知り、レビア王女やラピエサージュが肩を落とす。
知道【冥王魔術】技能沒有回來,蕾碧亞公主及菈琵艾莎鳩垂下了肩膀。
『落ち込んでいる場合ではないぞ! スキルが元のレベルになるまでの間は、我々がヴァンダルー様の力となるべく、より一層励むのだ!』
『不是失落的場合喔! 技能直到變成原來等級的期間,我們會盡量成為范達魯的力量,更上一層勤奮的!』
『そうだっ! 俺は励む! 励むぞおおおおお! ハゲエエエエ!』
『沒錯! 我會勤奮的! 勤奮的喔喔喔喔喔! 激烈的!』
『貴様等は静かにせんか! ヴァンダルー様の御心を考えよ!』
『你們不會安靜嗎! 考慮一下范達魯大人的心情!』
「いえ、チプラス、俺は別に落ち込んではいませんよ。暫く大変だなと、思っているぐらいで」
「不,奇普拉斯,我沒有特別失落喔。只是在想暫時會很辛苦呢」
『流石、ヴァンダルー様! でも【危険感知:死】の働きや、【魔王の欠片】の力の低下は由々しき問題だわ。早急に手を打ちましょう』
『不愧是范達魯大人! 但是【危險感知:死】的工作及、【魔王的碎片】的力量降低是嚴重的問題喔。火速採取措施吧』
「そうですね、アイラ。帰ったら、暫く特訓と修行に専念しましょうか」
「也是呢,愛菈。回去的話,要暫時專心在特訓和修行上嗎」
そんな事をゼーゾレギンの寄り代の残骸の前で話していると、不意に寄り代の残骸が小さく動いた。
在杰佐雷金的憑依殘骸之前說著那種事的話,突然憑依的殘骸小小動了。
「ヴァンダルーよ、どうやらまだ動くようです」
「范達魯喔,看來似乎還會動」
「おや? もう生命力も残っていなかったのに、何故?」
「哦呀? 明明已經沒有生命力殘留了,是為何呢?」
ゼーゾレギンの寄り代は、爆発的な勢いで再生を開始し、数秒で上半身を生やす。
杰佐雷金的憑依以爆炸性的氣勢開始再生,用數秒長出上半身。
『GUOOOOOOOON!』
『咕喔喔喔喔喔喔喔喔嗯!』
声からは知性を感じさせず、まるで獣のような仕草で跳ね起きると、そのままヴァンダルーに躍りかかる。
從聲音裡感覺不到智能,用簡直就像野獸般的動作跳了起來後,就那樣跳過范達魯。
しかし、その動きは致命的に精彩を欠いていた。並の相手になら通用するだろうが、ヴァンダルーには相手にならない。まるで、殺してくれと言っているかのようだ。
可是,那個行動欠缺致命性的活力。如果是對普通的對手會有效的吧,但當不了范達魯的對手。簡直似乎在說要去殺嗎。
「もしかして、体内にフォルザジバルの魂が残っていたのでしょうか?」
「莫非,佛魯札吉巴路的靈魂殘留在體內嗎?」
そう言いながら、神霊魔術を連打する。黒い炎の槍や、氷塊、電撃、そして光線と連続で貫かれ、強靭なはずの邪悪神の憑代は再び倒れ伏した。
一邊如此說著,一邊連續打出神靈魔術。被連續用黑色火焰的槍及、冰塊、電擊、還有光線貫穿,應該結實的邪惡神的憑依再次被打倒。
そして再び神の魂を喰った手応えと、魔王の欠片を入手した感覚。そして――。
然後再次吃了神之魂的反應後,是得到魔王的碎片的感覺。還有――。
(ただいま、俺よ)
(我回來了,我喔)
(……おかえり、俺よ)
(……歡迎回來,我喔)
在るべきものが、在るべき場所に戻ってきてしまった、諦めと安堵が混じった感覚を覚え、胸の内で言葉を交わしたのだった。
應該存在的東西回到了應該存在的地方,感到放棄和安心混雜的感覺,在心裡面互相寒暄。
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創作內容
1 GP
阿魯庫雷姆公爵領篇二 二百六十八話 吾已然不是吾
作者:SPT草包│2018-11-28 22:32:29│贊助:2│人氣:62
四度目は嫌な死属性魔術師
討厭第四次的死屬性魔術師
作者:デンスケ
第十一章 アルクレム公爵領編二 二百六十八話 我は我では既にない
第十一章 阿魯庫雷姆公爵領篇二 二百六十八話 吾已然不是吾
原文連結
庭で優雅にお茶でも楽しむには、もってこいな春らしい温かな昼下がり。何の前触れもなく、都の郊外から大きな破壊音が響いた。
在庭園裡優雅地享受著茶,就似再好不過的春季的溫暖午後。什麼預告也沒有,從首都的郊外響起巨大的破壞聲。
アルクレム公爵の別邸から煙が上がり、衛兵や騎士達が周辺の住人を避難させ、その間も鋭い剣戟や魔術の爆発音、そして怒鳴り声や悲鳴が別邸から響く。
煙塵從阿魯庫雷姆公爵的別墅裡上升,衛兵及騎士們讓周邊的居民避難,那期間也從別墅裡響起尖銳的劍戟及魔術的爆炸聲,還有怒吼聲及慘叫聲。
この日別邸で何が行われていたのか、知っていた一部の者達は交渉が決裂し、ダンピール達と『アルクレム五騎士』の戦いが始まったのだと思い込み、顔を青くした。
這一天在別墅裡有什麼被進行著呢,知道的一部分人們深信是談判破裂,半吸血鬼他們與『阿魯庫雷姆五騎士』的戰鬥開始了,臉色鐵青。
だが、このアルクレムは約百万人が住む大都市だ。郊外で起きた事件が街中に知れ渡るには、時間がかかるだろう。
但是,這個阿魯庫雷姆是大約百萬人居住的大都市。在郊外發生的事件要全城皆知,要花時間吧。
しかし、街の外で上がった煙には、多くの人間が気づいた。
可是,在城市外面上升的煙塵,很多的人類注意到了。
「何だっ、あれは!? 『荒野の聖地』で何かあったのか!?」
「什麼啊,那個是!? 在『荒野的聖地』發生了什麼嗎!?」
街の城壁沿いに建てられた物見の塔や、アルクレム城に詰めていた兵士が声を上げる。
被沿著城鎮城牆興建的瞭望塔及、塞滿阿魯庫雷姆城裡的士兵發出聲音。
アルクレムの将兵で、『荒野の聖地』の重要性を知らない者はいない。オルバウム選王国は勿論、アルクレム公爵家の前身であるアルクレム王国が存在する遥か昔から、『強奪の悪神』フォルザジバルを封印した、『山の神』ボルガドンを祭る神殿があり、封印を守り続けた一族が暮らす場所だ。
在阿魯庫雷姆的官兵裡,沒有不知道『荒野的聖地』的重要性的人。歐魯巴烏姆選王國不用說,從身為阿魯庫雷姆公爵家的前身的阿魯庫雷姆王國存在著的遙遠往昔,就是封印著『強奪的惡神』佛魯扎吉巴路、存在祭祀『山之神』波爾加東的神殿、持續守護著封印的一族生活著的地方。
この十万年の間、フォルザジバルは封印から逃れようと幾度も暴れ、それが地震や魔物の暴走として人々を脅かしてきた。その度に英雄達の奮闘と、人々のボルガドンへの祈りが悪神を抑えこんできた歴史がある。
這十萬年間,佛魯札吉巴路打算從封印裡逃跑暴亂了好幾次,那個作為地震或魔物的暴走威脅著人們。有著每當那個時候英雄們的奮鬥與、人們向波爾加東的祈禱能壓制住惡神的歷史。
「まさか、悪神が暴れているのか!? こんな時に!」
「難道,惡神暴亂了嗎!? 這種時候!」
その歴史は全て、ゼーゾレギンが人々の危機感を煽って祈らせ、信仰心が薄れないようにするための茶番であった事を知らない兵士が悲鳴をあげる。
不知道那個歷史,全部都是杰佐雷金為了煽動人們的危機感使其祈禱、信仰心不會漸漸稀薄的鬧劇的士兵發出了慘叫聲。
だが、その兵士も含めたアルクレムの人々はまだ希望は残っていると思っていた。今までのように『山の神』ボルガドンが、『アルクレム五騎士』のような英雄達が、今回も悪神を抑えこんでくれるはずだと。
但是,包含那位士兵的阿魯庫雷姆的人們也認為還殘留有希望。就像至今為止一樣,『山之神』波爾加東、像『阿魯庫雷姆五騎士』般的英雄們,這次應該也會去壓制住惡神。
だが、煙を蹴散らすように巨大な人影が現れた時、希望は残っていないのだと思い知らされた。
但是,就像踢散煙塵般的巨大人影出現的時候,被迫體會到了已不殘留希望了。
「何だ、あの禍々しい巨人は? あ、あれが悪神、フォルザジバルなのか!?」
「什麼啊,那個不吉利的巨人? 那、那個是惡神、佛魯札吉巴路嗎!?」
「悪神が復活した……お、終わりだ。もう終わりだぁぁぁぁ!」
「惡神復活了……結、結束了。已經結束了啊!」
時間は少々巻戻る。
時間稍微倒轉回去。
神殿が崩壊した事で発生した土煙に、黒い炎に包まれたゼーゾレギンの灰色の姿が消えた。
在因神殿崩壞而產生的飛揚塵土裡,被黑色火焰包裹的杰佐雷金的灰色身姿消失了。
『陛下っ! 倒せませんでした!』
『陛下! 沒能打倒!』
レビア王女の叫び声。それに遅れて【危険感知:死】に反応があり、ヴァンダルーは咄嗟に後ろに下がろうと試みる。
蕾碧亞公主的叫喊聲。而且慢了對【危險感知:死】有反應,范達魯瞬間試圖退到後面。
だが、その前に黒い刃が土煙の向こう側から、ヴァンダルーに向かって突き出された。
但是,在那之前黑色刀刃從飛揚塵土的對面,朝向范達魯刺出來。
「【金剛壁】」
回避が間に合わないと判断したヴァンダルーは、背中から生やした【魔王の節足】を盾にして、盾術を発動し受け止めようとした。
判斷來不及迴避的范達魯將從背後長出的【魔王的節足】當作盾牌,打算發動盾術承受。
しかし、黒い刃は節足を易々と貫いた。【魔王の外骨格】も発動して防御力を高めていたのだが、黒い刃の貫通力はそれも越えていたのだ。
可是,黑色刀刃輕易地貫穿節足。雖然【魔王的外骨骼】也發動提高了防禦力,但黑色刀刃的貫通力也超越了那個。
「……危ないところでした」
「……真是危險」
しかし、刃の勢いは弱まったためヴァンダルーは、首を曲げて刃を回避する事に成功した。そして貫かれた節足を強引に動かし、黒い刃を圧し折った。
可是,因為刀刃的氣勢減弱,范達魯扭過脖子成功迴避了刀刃。然後強行移動被貫穿的節足,折斷了黑色刀刃。
貫通力に優れていた黒い刃だったが、厚みや粘り強さはなく、澄んだ音を立ててすぐ砕け散った。
雖是在貫通力上很出色的黑色刀刃,但沒有厚度或柔韌度,發出清澈的聲音就馬上碎裂四散了。
「これは……何かの結晶?」
「這個是……什麼的結晶?」
『ヴァン君!? 首が凄い事になってるんだけど!?』
『范君!? 脖子變得好厲害就是了!?』
「首の骨を【魔王の骨】にして、形を変えただけなので大丈夫です。【神経】も繋がっていますし」
「將脖子的骨頭化為【魔王的骨頭】,由於只是改變形狀不要緊。【神經】也連接著」
首を強引に伸ばして、頭部を横にずらしたヴァンダルーは、オルビアにそう答えながら元の場所に自分の首を戻した。
強行伸展脖子,將頭部挪到旁邊的范達魯,一邊如此回答歐露畢亞一邊讓自己的脖子回到原來的地方。
『ククク、奪われたスキルを新たに習得しなおしたようだが、どうやらレベルが低すぎて、発揮できる効果に限界があるようだな』
『庫庫庫,雖然好像重新新學會被奪走的技能,但看來等級太低,能發揮的效果似乎有極限呢』
それに合わせたように土煙が晴れ、文字通りに山のような巨体に変化したゼーゾレギンが姿を現す。
然後飛揚塵土像是配合般放晴了,變化成如同字面上像山般的巨大身體的杰佐雷金顯現出身姿。
『我の攻撃に貴様が気づくのが遅れ、我の【欠片】の攻撃が、貴様の【欠片】の防御を易々と貫いた。
『你小子注意到吾之攻擊慢了,吾之【碎片】的攻擊輕易地貫穿了你小子的【碎片】的防禦。
これは【魔王】スキルのレベルの差、【欠片】の力を我の方がより引き出しているという事に他ならん!』
這就是【魔王】技能的等級差,無非就是所謂吾這邊還比較能引出【碎片】的力量。』
ゼーゾレギンは約百メートルの巨体と化しただけではなく、背中と腕に水晶のような結晶が生え、その全身がしっとりと濡れていた。
杰佐雷金並非只是化身為大約一百公尺的巨大身體,在背後和手臂上都長著水晶般的結晶,那個全身潮濕濕潤。
「あの水晶のようなものは、魔王の水晶とか結晶とか、そんな欠片でしょうか? それと、肌のぬめりは【魔王の汗腺】ですか。そしてあの巨体は……やはり【筋肉】? いやいや、冷静さを保たなくては」
「那個水晶般的東西,是魔王的水晶或結晶、那種碎片對吧? 還有,肌膚的滑溜是【魔王的汗腺】嗎。然後那個巨大身體……果然是【肌肉】? 不對不對,必須保持冷靜」
だがヴァンダルーは冷静にゼーゾレギンが使っている欠片の分析を行っていた。
但是范達魯冷靜地進行著杰佐雷金使用著的碎片的分析。
黒い刃は、水晶のような物の一部を伸ばしたもの。レビア王女が変化した黒い炎に耐えられたのは、【魔王の汗腺】で流した汗が熱から身体を守ったためだろう。
黑色刀刃是讓像水晶般的東西的一部分延伸的東西。能忍受蕾碧亞公主變化成的黑色火焰,是因為用【魔王的汗腺】流出的汗從熱中保護了身體吧。
そして筋骨たくましい体つきに変化し、更に巨大化した理由は、【魔王の筋肉】を発動したからではないだろうかと推測しつつも、冷静さを保とうと自分に言い聞かせる。
然後一面推測變化成筋骨健壯的體格、更加巨大化的理由並不是因為發動了【魔王的肌肉】吧,一面對己勸說保持冷靜。
『……どうした? 【魔王の欠片】同士のぶつかり合いで負けたのが、そんなに衝撃的だったか?』
『……怎麼了? 【魔王的碎片】們的互相衝撞輸了,是那麼樣地具衝擊性嗎?』
ヴァンダルーの独り言が聞こえなかったのか、ゼーゾレギンがそう言いながらニヤリと笑う。
是沒聽到范達魯的自言自語嗎,杰佐雷金一邊如此說著一邊奸笑著。
『ならば、もう一度味わうがいい!』
『那樣的話,再品味一次就好了!』
そう叫ぶと腕を横なぎに振るう。それに合わせて、腕に生えていた結晶が一枚の刃のように閃き、ヴァンダルー達を襲う。
如此叫喊後揮舞橫掃手臂。並且配合著,長在手臂上的結晶像是一枚刀刃閃爍,襲擊范達魯他們。
「いえ、一度で結構」
「不,一次就夠了」
だが、今度は視界を覆う土煙はない。ヴァンダルーは魂を実体化させて纏う、【魂格滅闘術】を発動し、グファドガーンと共に後ろに飛びのいた。
但是,這次沒有覆蓋視野的飛揚塵土。范達魯讓靈魂實體化纏繞,發動【魂格滅鬪術】,與古法德岡一起在後面跳躍著。
それに一瞬遅れて結晶の巨大刃が振るわれ、大地に一直線な傷を残した。
並且晚了一瞬間的結晶的巨大刀刃被揮舞著,在大地上遺留下一直線的傷痕。
『アルダのダンジョンで使ったスキルか!』
『在阿魯達的迷宮裡使用的技能嗎!』
【魔王の欠片】が融合した魂を実体化させ、身体に纏うスキル。ゼーゾレギンは、それについて己の御使いから聞いていた。
讓融合【魔王的碎片】的靈魂實體化,纏繞於身體上的技能。關於那個杰佐雷金有從自己的御使那聽到。
『だが、以前程力を発揮できてはいないようだ。まるで普通の甲冑のようではないか!』
『但是,似乎沒能發揮以前程度的力量。簡直不就像普通的甲冑嗎!』
ハインツとの戦いで見せた異形とは違い、【魂格滅闘術】を発動したヴァンダルーの姿はすっきりとしていた。
與在跟海恩茲的戰鬥裡看過的異形不同,發動【魂格滅鬪術】的范達魯的身姿非常流暢。
それをゼーゾレギンは、【魔王】スキルのレベルが大幅に下がったため、ヴァンダルーは欠片の力を使いきれていないのだと推測した。
杰佐雷金將那個推測為,因為【魔王】技能的等級大幅下降,范達魯無法完全使用碎片的力量。
これなら勝てる。欠片の数では敵わないが、欠片に秘められた本来の力を……いや、もしかしたら本来以上の力を発揮させる事が出来ている今なら、確実に。
這樣的話能贏。雖以碎片的數量敵不過,但將被隱藏在碎片上的本來的力量……不,或許能讓本來以上的力量發揮,現在的話確實如此。
『その鎧と肉体、どちらも砕いてくれる! 【大地破斬】! 【毒炎の舌】! 【斬空】!』
『那副鎧甲與肉體,哪邊都會給予粉碎! 【大地破斬】! 【毒炎之舌】! 【斬空】!』
ヴァンダルーとグファドガーンを追って、地面から鉱物で出来た刃が、ゼーゾレギンの胴体についた口から毒々しい色の炎で出来た舌が出現し、結晶の刃を振るった腕が斬撃を飛ばす。
追著范達魯與古法德岡,以來自地面的礦物完成的刀刃與,以來自附著於杰佐雷金的軀體上的嘴巴的有毒色澤的火焰完成的舌頭出現了,揮舞著結晶的刀刃的手臂射出斬擊。
「吸魔の――いや、ダメだ」
「吸魔的――不,不行」
ゼーゾレギンの魔術を打ち消すため、結界を張ろうとしたヴァンダルーだったが、それを中止して回避に専念する。
為了消除杰佐雷金的魔術,打算張開結界的范達魯,中止了那個專心於迴避上。
大地の刃が鎧を掠り、毒の炎を【消毒】でただの炎に変えて対応する。もし【吸魔の結界】を使っていたら、足が止まり、その後に飛んできたゼーゾレギンの【斬空】によって切り裂かれていただろう。
大地之刃掠過了鎧甲,將毒之炎以【消毒】變成僅僅是個火焰來對應。如果使用【吸魔的結界】的話,會停下腳步,在那之後會根據飛過來的杰佐雷金的【斬空】被切開來吧。
「しかし、【魔王の欠片】を使いながら属性魔術を使うとは、驚きました」
「可是,以一邊使用【魔王的碎片】一邊使用屬性魔術來說,很吃驚」
【魔王の欠片】を発動すると、死属性以外の属性魔術は使えなくなる。欠片に宿る、魔王グドゥラニスの魔力の影響でそうなるようなのだが、ゼーゾレギンは地属性と火属性の魔術を発動していた。
發動【魔王的碎片】後,會變得無法使用死屬性以外的屬性魔術。雖然因寄宿在碎片上的魔王古都拉尼斯的魔力影響好像會變成那樣,但杰佐雷金發動著地屬性和火屬性的魔術。
『もしや、奴はヴァンダルー様のように属性ゴーストを連れているのでしょうか?』
『或許,那傢伙像范達魯大人一樣帶著屬性幽靈嗎?』
ただ、ゴーストに魔力を渡して発動して貰う死霊魔術や神霊魔術は【魔王の欠片】を発動していても、使う事が出来る。
只是,交付魔力請幽靈發動死靈魔術或神靈魔術,就算發動【魔王的碎片】也能使用。
魔術を使うのは魔力を受け取ったゴースト自身で、欠片の使用者ではないからだ。
因為使用魔術的是接受魔力的幽靈本身,並非是碎片的使用者。
ゼーゾレギンも同じではないかと、光属性のゴーストであるチプラスが推測するがヴァンダルーは首を横に振った。
杰佐雷金是不是也一樣呢,身為光屬性的幽靈的奇普拉斯雖如此推測,但范達魯左右搖了搖頭。
「ゴーストの姿は見えませんでした。他の仕掛けでしょう」
「沒有看到幽靈的身姿。是其他的裝置吧」
「恐らく、奴が二柱の神を吸収した事が理由かと。【魔王の欠片】の影響を一つの魂に集中させ、残り二つの魂で術を唱えているのでしょう」
「恐怕,那傢伙吸收了兩柱的神明是理由吧。讓【魔王的碎片】的影響集中到一個靈魂上,以剩下的兩個靈魂詠唱法術吧」
グファドガーンの推測が、ほぼ真実を言い当てていた。ゼーゾレギンは欠片の副作用をフォルザジバルに担当させていた。そして自身の属性である火属性魔術を自分が、地属性魔術はボルガドンを利用して唱えている。
古法德岡的推測幾乎說中事實。杰佐雷金讓佛魯札吉巴路擔任著碎片的副作用。然後將自身屬性的火屬性魔術由自己,地屬性魔術利用波爾加東來詠唱著。
ヴァンダルーのように魂が奇怪な構造をしている訳ではなく、複数の魂を吸収同化した結果自身の物として操っているゼーゾレギンだからこそ出来る芸当であり、彼が【魔王の欠片】を使う上で優れた資質を持っている証拠と言える。
並非是像范達魯般靈魂有著奇怪的構造,正因為是操作著將複數的靈魂吸收同化的結果作為自身的東西的杰佐雷金才能做到的絕技,可以說是他在使用【魔王的碎片】上擁有著出色的資質的證據。
恐らく、山のように巨大化したのも自身の力ではなく、吸収したボルガドンの力によるものだろう。
恐怕,像山般的巨大話也並非是自身的力量,而是根據吸收了的波爾加東的力量吧。
『【毒炎弾】! 【散弾打ち】!』
『【毒炎彈】! 【散彈射擊】!』
しかも、ゼーゾレギンは魔術の後必ず【魔王の欠片】を使った武技を放ってくる。ヴァンダルーが足を止めて結界を張って魔術を防いだら、武技で結界を破って攻撃する作戦なのだろう。
而且,杰佐雷金在魔術之後必定會放出使用【魔王的碎片】的武技。是范達魯停下腳步張開結界抵禦魔術的話,就用武技打破結界的攻擊作戰吧。
今も毒々しい色をした炎の弾丸を口から吐き、その後【魔王の結晶】を急成長させ、結晶の欠片に【投擲術】の武技を使い、ヴァンダルー達に向かって乱射している。
現在也從嘴吧吐出有著有毒色澤的火焰子彈,那之後讓【魔王的結晶】急速成長,對結晶的碎片使用【投擲術】的武技,朝向范達魯他們亂射著。
今のゼーゾレギンの大きさは、約百メートル。毒炎の球体も、結晶の欠片も尋常な大きさではない。
現在的杰佐雷金的大小大約一百公尺。毒炎的球體或、結晶的碎片都並非是普通的大小。
その分狙いが甘いのか、毒炎や結晶の弾はヴァンダルー達に回避され、地面に激突し爆発していた。
那部分的狙擊太天真了嗎,毒炎及結晶的子彈被范達魯他們迴避,猛撞地面爆炸了。
その狙いの甘さと、ゼーゾレギンが巨大化した事で小回りが利かなそうに見えるのを利用して、懐に飛び込み攻撃を叩きつけるのが、最も効果的な作戦に思える。
利用那份狙擊的天真和、杰佐雷金看起來因巨大化而似乎不能隨機應變,跳進懷裡將攻擊猛烈打進去,是認為最有效果的作戰。
実際、ヴァンダルーが今発動している【魂格滅闘術】は【格闘術】の上位スキルだ。遠距離戦より接近戦に向いている。
實際上,范達魯現在發動著的【魂格滅鬪術】是【格鬥術】的上位技能。比遠距離戰更傾向接近戰。
そして、冒険者が巨大な魔物と戦う際のセオリーでもあった。
然後,也有冒險者與巨大的魔物戰鬥之際的理論。
「如何いたしますか?」
「要怎麼做呢?」
「では、このまま遠距離戦を続けましょう。……なんだか接近戦をするよう、誘っているように見えますし」
「那麼,就這樣繼續遠距離戰吧。……總覺得是要做接近戰,看起來像是在邀請般」
そう言ってセオリーを無視したヴァンダルーは、両拳をゼーゾレギンに向け、【魔王の角】や【魔王の血】で拳をドリル状の突起で包む。
如此說著無視了理論的范達魯,將雙手朝向杰佐雷金,將拳頭用【魔王的角】及【魔王的血】以鑽頭狀的突起包覆著。
「【黒炎憑依】、【冥雷憑依】、そして【ロケットパンチ】」
「【黑炎憑依】、【冥雷憑依】,然後【火箭飛拳】」
更にレビア王女の炎とキンバリーの雷をそれぞれ付与し、手首から先を射出した。
並且各自賦予了蕾碧亞公主的火焰和金巴利的雷,發射出從手腕開始的前方。
『もう一回行きまーす!』
『再進行一回!』
『ヒャハハハ!』
『吓哈哈哈!』
真っ直ぐ自分に向かって飛んでくるヴァンダルーの両拳に気がついたゼーゾレギンは、反射的にそれを喰らって【吸収同化】を使い、更にスキルを奪おうかと思った。
注意到筆直朝向自己飛過來的范達魯的雙拳的杰佐雷金,反射性地使用吃掉那個的【吸收同化】,並且還想著能奪走技能嗎。
『っ!? 罠か! 【超即応】!』
『!? 陷阱嗎! 【超適應】!』
だがヴァンダルーが飛ばした両拳に、彼の両手首から先が入っているとは限らない。魂だけを飛ばしている可能性が高いと気がついた彼は、何とか回避しようと反応速度を上げる武技を発動させて、巨体の関節をぐにゃりと捻じ曲げて回避を試みる。
但是范達魯射出的雙拳,未必會從他雙手腕開始的前方進入。注意到射出只有靈魂的可能性很高的他,想辦法打算迴避讓提高反應速度的武技發動,讓巨大身體的關節軟綿扭曲試圖迴避。
それはギリギリ間に合い、回避は成功したが――。
那個勉勉強強趕上,迴避雖成功了――。
「アイラ、氷の壁を」
「愛菈,冰之壁」
『はいっ、ヴァンダルー様♪』
『是的,范達魯大人♪』
ヴァンダルーの影から上半身を出したアイラが、水属性魔術で氷の壁を作り出す。
從范達魯的影子裡探出上半身的愛菈,用水屬性魔術製作出冰之壁。
「三連【滅輝線】」
その氷の壁の向こうのゼーゾレギンに向かって、光線に姿を変えたチプラス、ダローク、ベールケルトが、氷の壁に、その向こうにそびえるゼーゾレギンの巨体へと飛び込んでいく。
朝向那面冰之壁的對面的杰佐雷金,身姿變化成光線的奇普拉斯、達洛克、貝魯可魯特,往聳立在冰之壁、那個對面的杰佐雷金的巨大身體跳了進去。
氷の壁がレンズの役割を果たし、収束し威力を増した光線が、ゼーゾレギンに迫る。
冰之壁起到透鏡的作用,收束增加威力的光線,迫近杰佐雷金。
『見え透いた術だ』
『顯而易見的策略』
だが、ゼーゾレギンは【魔王の結晶】で盾を形成。それで光線となった三人を歪曲させ、身体から逸らす事に成功する。
但是,杰佐雷金用【魔王的結晶】形成盾牌。因此讓化為光線的三人歪曲,成功從身體偏移開。
ヴァンダルーが【魔王の眼球】と、【発光器官】を使った怪光線を放つ事を知っていたゼーゾレギンは、光線への対策も用意していたのだ。
知道范達魯會使用【魔王的眼球】和、【發光器官】釋放怪光線的杰佐雷金,也準備了對光線的對策。
ヴァンダルーが胴体に、巨大な【魔王の眼球】を出現させ、その虚ろな瞳が怪しく光るのを見た時も、先程と同じように反らして回避しようとした。
范達魯讓巨大的【魔王的眼球】出現在軀體上,看到那空虛的瞳孔可疑的發光的時候,也與剛才一樣打算向後仰來迴避。
「アイラ、氷の壁を貰いますね」
「愛菈,收到冰之壁了呢」
だが、ヴァンダルーは巨大眼球から光線を放つ前に、氷の壁の形を【ゴーレム創成】で変化させる。
但是,范達魯在釋放來自巨大眼球的光線之前,用【哥雷姆創成】讓冰之壁的形狀產生變化。
その結果、放たれた怪光線は氷の壁で拡散。それぞれ異なる軌道の光線となって、ゼーゾレギンに降り注ぐ。
那個結果,被釋放的怪光線因冰之壁而擴散。化為各自相異的軌道的光線,降臨到杰佐雷金上。
『グアアアアアアっ!? ガハァ!?』
『咕啊啊啊啊啊啊!? 嘎哈!?』
結晶の盾で幾つかは逸らせたが、数十に拡散した光線の全てを回避する事は出来ず、怪光線に焼かれ苦痛に叫ぶゼーゾレギン。
雖用結晶之盾偏開了幾個,但無法迴避數十道擴散開來的光線的全部,被怪光線燒灼痛苦地叫喊著的杰佐雷金。
その背に、【群体操作】で操られて戻ってきたヴァンダルーの両拳が突き刺さり、炎と電撃によって肉を焼く。
在那背上,被用【群體操作】操作回歸的范達魯的雙拳札刺進去,經由火焰與電擊燒烤著肉。
約百メートルの山のような巨体に対して拡散された怪光線とヴァンダルーの両拳は、あまりにも小さい。しかし、ヴァンダルーは【神喰らい】スキル等を所持している、山も崩す力量の持ち主だ。
相對於大約一百公尺的山般的巨大身體,被擴散的怪光線和范達魯的雙拳過於細小。可是,范達魯是攜帶著【神噬】技能之類,能粉碎山的力量的擁有者。
攻撃によってもたらされた痛みは、ゼーゾレギンに危機感を覚えさせるほど大きかった。
經由攻擊被帶來的疼痛,是讓杰佐雷金感到危機感那樣的大。
(あの両拳はやはり外側だけか。【魔王】スキルでも魂は喰えない……魂を喰う、滅ぼすスキルは別にあるのか。
(那雙拳果然只有外側嗎。即便是用【魔王】技能也吃不到靈魂……噬魂,毀滅的技能存在別種的嗎。
それよりも、奴は接近戦を避けている。近づけば【魔王の刺胞】で刺し貫き、毒が効かなくてもそのまま【吸収同化】したものを)
比起那些,那傢伙在避開接近戰。接近的話就用【魔王的刺胞】刺穿,就算毒無效也能就那樣【吸收同化】掉)
ゼーゾレギンは【魔王の欠片】の一つ、クラゲ等が触手に持つ器官と似た【魔王の刺胞】を持っていた。こうして巨大化しなければ、目に見えない程小さな針で触れた者に毒を注入するしか能のない欠片だ。
杰佐雷金擁有著【魔王的碎片】之一,與水母之類擁有觸手的器官相似的【魔王的刺胞】。若不這樣巨大化的話,就只是有能用眼睛看不到的細小針將毒注入被觸碰者的能力的碎片。
だが、今のゼーゾレギンの身体の大きさなら、触れた者の手足を貫いて動きを止める事が出来る。その隙にまたスキルを奪い、自身の強化とヴァンダルーの弱体化を同時に狙っていたのだが……。
但是,如果是現在的杰佐雷金的身體的大小,能做到貫穿被觸碰者的手足停止行動。趁那空隙再次奪走技能,同時狙擊著自身的強化和范達魯的弱體化就是了……。
(こうなれば、仕方あるまい。どの道、口封じはするつもりだったのだ)
(變成這樣的話,就沒辦法了。是打算在哪條路上滅口啊)
ゼーゾレギンはヴァンダルーに、そしてその向こうにあるアルクレムの街へ向かって両腕を広げた。その腕と胸部に、大小の黒い結晶が無数に生じる。
杰佐雷金朝向范達魯、還有在那個對面的阿魯庫雷姆之城張開雙臂。在那手臂和胸部上,生成無數大小的黑色結晶。
『避けたければ避けるがいい! 街の人間共がどうなるかは知らぬがな! 【乱れ打ち】!』
『想避開的話就避開吧! 城鎮的人類不知道會變成怎樣呢! 【混亂射擊】!』
そして黒い結晶を、筋力と【投擲術】の武技で射出した。
然後將黑色結晶,用筋力和【投擲術】的武技射出去。
【投擲術】スキルは大した事はないが、【魔王の筋肉】で撃ちだした【魔王の結晶】だ。ここからアルクレムの街まで数キロの距離があるが、まず届くだろう。
【投擲術】技能雖沒什麼大不了,但用【魔王的肌肉】開始射擊【魔王的結晶】。從這裡開始到阿魯庫雷姆之城雖有數公里的距離,但大概會到達吧。
これだけの結晶を広範囲に撃ち出したのだ。何時の間にか姿を消したグファドガーンが、空間を捻じ曲げたとしても、半分以上は防ぎきれないはずだ。
將這些結晶廣範圍地射擊出去。就算不知不覺間消去身姿的古法德岡打算扭曲空間,應該也防不住一半以上。
その半分以上を何らかの方法で防ぐため、ヴァンダルーが何かをするはず。ゼーゾレギンはその隙を突くつもりだった。
為了用某些方法防禦那一半以上,范達魯應該會做些什麼。杰佐雷金打算攻擊那個空隙。
勿論、ヴァンダルーがアルクレムの街を見捨てる可能性はある。その場合街に大きな被害が出る事も分かっている。
不用說,范達魯有拋棄阿魯庫雷姆之城的可能性。也明白那個狀態會在城鎮上出現巨大的受害。
手塩にかけて増やしてきた人間達が、大幅に減るのは惜しい。だが、ヴァンダルーに勝たなければ未来はないのだ。
一手拉拔增加起來的人類們,大幅減少很可惜。但是,若不能贏過范達魯的話就沒有未來。
「まあ、そう来るでしょうね。ファイエル」
「算了,是會這樣過來呢。射擊」
そしてヴァンダルーは、ゼーゾレギンの良心を信用していなかったため、彼が街を巻き込む手段を取っても動揺せず、背中から砲身を生やし、上空に向かって【魔王の卵管】で創りだした卵を連続で撃ち出した。
然後因為范達魯無法信任杰佐雷金的良心,他就算採取將城鎮捲進來的手段也毫不動搖,從背後生出砲身,朝向上空連續射擊出用【魔王的卵管】創造出來的蛋。
卵は結晶に触れる前に殻が弾け、中から粘着力のある糸が空中に広がり、結晶を絡めとる!
在蛋被結晶碰到前殼就裂開,有著黏著力的絲線從裡面擴散到空中,捆住了結晶!
『馬鹿な!? そんなか細い糸で結晶を!?』
『怎麼可能!? 用那樣細的線將結晶給!?』
これまでの糸なら、容易く千切られていたかもしれない。だが、撃ち上げた卵の中に入っていたのは、【魔王の絹糸腺】で作った糸だ。空一面に薄く広がっていたとしても、そう簡単には千切れない。
若是在此之前的線,很容易被切碎也說不定。但是,放入打上去的蛋裡面的是,用【魔王的絹絲腺】製作的線。就算薄薄攤滿整片天,也無法如此簡單被切碎。
そして糸に纏まり、勢いが削がれた結晶は、街の遥か手前に落下する。最大十メートル程の結晶塊が落下したため、大きな音が響き落下地点の風景が一変するだろうが……荒野なので被害者は出なかったようだ。
然後纏繞於線上,氣勢被削減的結晶在城鎮的遙遠跟前掉下來。因為最大十公尺左右的結晶塊掉下來,響起巨大聲音的落下地點的風景雖會為之一變……但由於是荒野似乎沒有出現受害者。
そして、ゼーゾレギンはヴァンダルーの隙を突くどころか、驚愕によって逆にヴァンダルーへ隙を晒してしまう。
然後,杰佐雷金豈止是攻擊范達魯的空隙,由於驚愕反過來將空隙暴露給范達魯了。
「グファドガーン、準備は?」
「古法德岡,準備呢?」
「たった今、完了いたしました」
「就在剛才,完畢了」
グファドガーンが再び姿を現すと、【転移門】が開き、そこから黒い砲台が三門姿を現す。
古法德岡再次顯現身姿後,打開【轉移門】,從那裡出現三門黑色砲台的身影。
『『『照準、良―し』』』
『『『瞄準、良好』』』
『『『撃つ!』』』
『『『射擊!』』』
「【虚砲】」
モークシーの町の自宅地下室に創ったダンジョンに設置した、砲台型と砲弾型使い魔王をグファドガーンが連れて来たのだ。
古法德岡將設置在創造於摩庫希之城自家地下室的迷宮裡,砲台型和砲彈型的使魔王帶過來了。
轟音を立てて砲台型使い魔王から、砲弾型使い魔王がゼーゾレギンに向けて撃ちだされ、ヴァンダルー本体からも、【虚王魔術】の【虚砲】が放たれる。
經由發出轟鳴聲的砲台型使魔王,砲彈型使魔王朝向杰佐雷金被射擊出去了,【虛王魔術】的【虛砲】也從范達魯本身被釋放。
『馬鹿な!? 貴様は欠片を使いこなせないのではなかったのかぁぁぁぁ!?』
『怎麼可能!? 你小子不是不能將碎片運用自如嗎!?』
隙を見せていたゼーゾレギンに意志を持つ砲弾型使い魔王を回避する事は出来ず、結晶で防具を作ろうとするも間に合わず、砲弾が灰色の巨体に命中し次々に大爆発を起こし、【虚砲】によって胸板を貫かれる。
顯露空隙的杰佐雷金無法迴避擁有意志的砲彈型使魔王,打算用結晶製作防具也趕不上,砲彈命中灰色的巨大身體連續不斷地引發大爆炸,胸膛經由【虛砲】被貫穿。
体勢が崩れ、地響きを立てながらゼーゾレギンが背後に向かって倒れ、その姿が急激に萎んでいく。
姿勢崩潰,一邊發出地鳴杰佐雷金一邊朝向背後倒下,那副身姿急遽地逐漸萎縮。
『あああああ! おのれっ! 何故だ!? スキル以前に、貴様の方が欠片との相性が良いとでも言うつもりか!?』
『啊啊啊啊啊! 你這傢伙! 為何啊!? 是打算說技能在以前就是你小子那邊與碎片的相性較好嗎!?』
そして元の人間大のサイズに戻ったゼーゾレギンは、怒りの声をあげながら【魔王の結晶】で盾と剣を作り出す。
然後回到原本人類大的尺寸的杰佐雷金,一邊發出憤怒的聲音一邊用【魔王的結晶】製作出盾與劍。
「そんな事を言うつもりはありません。単に、魔力が俺の方が多いだけでしょう」
「沒打算說那種事情。僅僅只是魔力是我這邊比較多吧」
魔王の欠片を使うには、多大な魔力を消費する。しかし、ヴァンダルーの神から見ても莫大過ぎる魔力は、その消費量を賄うのに十分な量だ。
在使用魔王的碎片上,要消費極大的魔力。可是,范達魯的就算從神來看也是過於巨大的魔力,要供給那些消費量卻是充足的量。
実際、比べて見ればゼーゾレギンよりもヴァンダルーの方が魔力は上だ。
實際上,試著比較的話比起杰佐雷金還是范達魯那邊魔力更高。
『魔力の大きさだけでこれ程の差になる訳がない。やはり、貴様の全てを喰らい、我がものとしなければ魔王への道は開かれんようだ! 御使い共よ! 我が寄り代に宿れ!』
『就只是魔力的大小才不會成為這種程度的差距。果然,若不將你小子的一切都吃掉化為吾之物的話,是無法打開通往魔王的道路的! 御使們喔! 寄宿到吾之憑依上!』
呼び寄せておいた自身の御使い達を、寄り代に宿らせて【御使い降臨】と同じ効果……【多重御使い降臨】とでも呼ぶべき状態にすると、鋭い踏み込みでヴァンダルーに向かって斬り込んできた。
將事先招集來的自己的御使們寄宿到憑依上,成為與【御使降臨】同樣效果……應該稱呼為【多重御使降臨】的狀態後,能以猛烈的踏入朝向范達魯砍進去。
『【硬質化】! 【毒炎付与】! 【閃光百閃】!』
『【硬質化】! 【毒炎賦予】! 【閃光百閃】!』
「【超即応】、【百烈突き】、【虚弾】」
「【超適應】、【百烈突刺】、【虛彈】」
ゼーゾレギンが付与魔術を自身に掛け、結晶の剣を素早く振るう。ヴァンダルーは反射速度を上げ、両腕と背中から生やした【魔王の節足】でゼーゾレギンと攻撃の応酬を繰り広げ、【虚弾】で反撃する。
杰佐雷金將賦予魔術施在自身上,快速地揮動結晶之劍。范達魯提高反應速度,用從雙臂和背後長出的【魔王的節足】展開與杰佐雷金的攻擊應對,用【虛彈】反擊。
『オオオオ!』
『喔喔喔喔!』
外見は元通りだが、先程までの傷が回復した訳ではないらしく、【虚弾】を弾いた瞬間、結晶の盾に大きくひびが入り、ゼーゾレギンの動きは次第に鈍くなって行く。
雖然外表是原樣,但到剛才為止的傷口似乎並沒有回復,彈開【虛彈】的瞬間,大大的裂縫加到結晶之盾上,杰佐雷金的行動逐漸依序變遲鈍。
「【魔王の顎】」
「【魔王的下顎】」
そろそろだと判断したヴァンダルーは、【魔王の顎】で牙が生えた巨大な顎を出現させ、ゼーゾレギンの上半身を飲み込むように噛みついた。
判斷差不多了的范達魯,用【魔王的下顎】讓長著牙齒的巨大下顎出現,像是要將杰佐雷金的上半身吞進去般咬下去。
ヴァンダルーに上半身を噛みつかれた瞬間、ゼーゾレギンは体内に吸収していた『強奪の悪神』フォルザジバルを分離して、解放した。
被范達魯咬住上半身的瞬間,杰佐雷金將吸收在體內的『強奪的惡神』佛魯札吉巴路分離掉,解放了。
ただ、ヴァンダルーの顎の中に。
只是,在范達魯的下顎裡面。
(これで、喰ったのは我だと偽装できるはずだ)
(這樣應該就能偽裝吃掉的是我了)
ゼーゾレギンは、フォルザジバルの魂を犠牲にして逃げ延びようとしていた。ついでに見せた【魔王の欠片】もつけて。
杰佐雷金是打算犧牲佛魯札吉巴路的靈魂來逃脫掉。順便展現的【魔王的碎片】也裝上。
自分はヴァンダルーから奪った【魔王】と【冥王魔術】スキル、そして使わなかった【魔王の刺胞】を持って、潜伏するつもりだ。
自己帶著從范達魯那奪走的【魔王】和【冥王魔術】技能、還有沒能使用的【魔王的刺胞】,打算潛伏。
彼は人間大のサイズに戻った時点で、ヴァンダルーに勝つ事を諦めていた。そして、このまま滅びるよりはどんなに望みが薄くても、潜伏しチャンスを待つ事を選んだのだ。
在他回到人類的尺寸的時間點上,就放棄贏過范達魯了。然後,比起就這樣滅亡無論期望如何稀薄,也選擇了潛伏並等待機會。
そのチャンスが、魔王になるためのものなのか、この世界から逃げ出すためのものなのかは、彼自身もまだ分からないが。
那個機會是為了成為魔王的東西嗎,還是為了從這個世界逃出去的東西呢,他自己也還不知道就是了。
(今はとにかく、この場から離れなければ――)
(現在不管怎樣,若不從這個地方離開――)
(その案には断固反対だ、我よ)
(對那個方案毅然反對,吾喔)
その時、ゼーゾレギンの精神に自らの思考以外の声が響いた。
那個時候,在杰佐雷金的精神裡響起自己的思考以外的聲音。
(何者だ!?)
(什麼人!?)
(何を言っている? 我が我以外の何者だと言うのだ。我は、我の一部)
(在說什麼? 是說吾是吾以外的什麼人啊。吾是,吾的一部分)
(馬鹿な……! 我の精神に、異なる人格や思考は存在しない!)
(怎麼可能……! 在吾的精神裡,不存在不同的人格及思考!)
(存在する。我が求め、配下に奪わせ、同化したのではないか)
(存在的。吾之所求,不是讓屬下搶奪、同化了嗎)
ゼーゾレギンは自分であって自分ではない心の声に混乱しながらも、その正体に思い至った。
杰佐雷金儘管因存在於自己體內並非是自己的心之聲混亂,卻也想到了那個原形。
(貴様は、【魔王】スキル? 馬鹿な、スキルが人格を持つ等、擬態人間達からは聞いた事がないぞ!)
(你小子是【魔王】技能? 怎麼可能,技能擁有人格之類,沒有從擬態人類那聽過)
(そう、我は【魔王】スキルであり、【冥王魔術】。正確に言うなら、スキルが刻まれた部分のヴァンダルーの魂の一部だった、我が吸収同化した薄皮一枚だ)
(沒錯,吾是【魔王】技能,【冥王魔術】。正確來說的話,被刻上技能的部分是范達魯的靈魂的一部分,吾是吸收同化了的薄皮一張)
(ヴァンダルーの魂の一部! 確かに、スキルは魂に刻まれる物だが……吸収同化したスキルに人格が宿っていた事は、今まで一度もなかった。……奴が魔王だからか? それとも亜神だからか!? 特殊な魂の形をしているからなのか!?)
(范達魯的靈魂的一部分! 的確,技能雖然是被刻在靈魂上的東西……吸收同化了的技能裡寄宿著人格的事,至今一次都沒有。……因為那傢伙是魔王嗎? 還是說因為是亞神呢!? 是因為有著特殊的靈魂型狀嗎!?)
(我よ、それは我にも分からない。強いて言えば、その全てだろう)
(吾喔,那個吾也不明白。硬要說的話,是那個全部吧)
淡々と答える声に、ゼーゾレギンは寒気を覚えた。得体の知れない存在に、侵食されているような悍ましい気分を覚える。
杰佐雷金對淡淡回答的聲音趕到了寒氣。對不可捉摸的存在,感到被侵蝕般的討厭的氣氛。
同時に、自分が勝てなかった答えが、これなのではないかと思いついた。
同時想到了,自己無法獲勝的答案不就是這個嗎。
(貴様、ヴァンダルーを勝たせるために我が不利になるように――)
(你小子,為了讓范達魯獲勝而變得對吾不利――)
(それは誤解だ、我よ。我は我の一部。我が魔王になるために、全力を尽くしたではないか。元が誰のスキルであっても、吸収同化で自らのものと出来る。それが『共食いの邪悪神』である我の力だろう?)
(那是誤解,吾喔。吾是吾的一部分。吾為了成為魔王,不是竭盡全力了嗎。即便原來是誰的技能,也能因吸收同化而成為自己的東西。那就是身為『共食的邪惡神』的吾的力量吧?)
そう指摘され、確かにそうだとゼーゾレギンは納得した。それはつまり、戦いに負けたのは自分の方が弱かったからだという事になるがそれはいい。今は生き残る事が最優先――待て、この声は何故生き残る事を最優先にする事に異を唱えたのだ?
被如此指責,杰佐雷金認同的確如此。那也就是說,雖會變成名為因為在戰鬥上輸掉是自己那邊比較弱但那樣就好。現在保住性命最優先――等下,這個聲音為何會對最優先保住性命這事唱反調?
そもそも、なぜ急に話しだした?
說起來,為何突然開始說話了?
その時、ゼーゾレギンは自らが致命的な失敗をしてしまった事に思い至った。
那個時候,杰佐雷金想到自己做出了致命性的失敗的事。
(その通りだ、我よ。我は既に『共食いの邪悪神』ではない。何故なら、先程我自身の意志でフォルザジバルを切り捨てたのだから。そのため、スキルを奪い我がものとする能力も失われました。
(就是那樣,吾喔。吾已然不是『共食的邪惡神』。原因,是因為剛才以吾自身的意志割捨掉佛魯札吉巴路。因此,作為奪走技能的吾之東西的能力也喪失了。
人質として使えるし、また人々から信仰を集める機会もあるかもしれないと、ボルガドンの方を温存した気持ちも分かりますけどね)
也有做為人質使用,再次從人們那收集信仰的機會也說不定的話,溫存波爾加東那邊的心情也能明白就是了呢)
話している内に口調が丁寧だが平坦なものに、声が声変わり前の少年のものに変わっていく。
明明在說話的期間內語氣是謹慎平坦的,但聲音卻逐漸變成變聲前的少年。
(ですが、こうなった以上、俺が望む事は何か。分かりますよね?)
(不過,既然變成這樣,我期望的事是什麼呢。能明白吧?)
(よ、よせ! 止めろ!)
(停、停止! 住手!)
(精神力で止めようとしても無理ですよ。何故なら俺はおまえの魂と融合しているのですから。魂に逆らえるわけがないでしょう?)
(就算打算用精神力阻止也不可能喔。原因是因為我與你的靈魂融合了。並不能違背靈魂對吧?)
魂を喰った手応えと味、そして幾つかの魔王の欠片を手に入れた事をヴァンダルーは理解するが、奪われたスキルは戻らなかった。
范達魯雖理解噬魂的反應和味道,還有得到幾個魔王的碎片的事,但被奪走的技能沒有回來。
「【魔王の筋肉】が手に入ったのは朗報ですが……スキルはまた時間をかけて覚えなおしましょう」
「雖然得到【魔王的肌肉】是喜訊……但技能要再次花時間記住吧」
『陛下……』
『陛下……』
『う゛ぅ~』
『嗚~』
【冥王魔術】スキルが戻らなかった事を知り、レビア王女やラピエサージュが肩を落とす。
知道【冥王魔術】技能沒有回來,蕾碧亞公主及菈琵艾莎鳩垂下了肩膀。
『落ち込んでいる場合ではないぞ! スキルが元のレベルになるまでの間は、我々がヴァンダルー様の力となるべく、より一層励むのだ!』
『不是失落的場合喔! 技能直到變成原來等級的期間,我們會盡量成為范達魯的力量,更上一層勤奮的!』
『そうだっ! 俺は励む! 励むぞおおおおお! ハゲエエエエ!』
『沒錯! 我會勤奮的! 勤奮的喔喔喔喔喔! 激烈的!』
『貴様等は静かにせんか! ヴァンダルー様の御心を考えよ!』
『你們不會安靜嗎! 考慮一下范達魯大人的心情!』
「いえ、チプラス、俺は別に落ち込んではいませんよ。暫く大変だなと、思っているぐらいで」
「不,奇普拉斯,我沒有特別失落喔。只是在想暫時會很辛苦呢」
『流石、ヴァンダルー様! でも【危険感知:死】の働きや、【魔王の欠片】の力の低下は由々しき問題だわ。早急に手を打ちましょう』
『不愧是范達魯大人! 但是【危險感知:死】的工作及、【魔王的碎片】的力量降低是嚴重的問題喔。火速採取措施吧』
「そうですね、アイラ。帰ったら、暫く特訓と修行に専念しましょうか」
「也是呢,愛菈。回去的話,要暫時專心在特訓和修行上嗎」
そんな事をゼーゾレギンの寄り代の残骸の前で話していると、不意に寄り代の残骸が小さく動いた。
在杰佐雷金的憑依殘骸之前說著那種事的話,突然憑依的殘骸小小動了。
「ヴァンダルーよ、どうやらまだ動くようです」
「范達魯喔,看來似乎還會動」
「おや? もう生命力も残っていなかったのに、何故?」
「哦呀? 明明已經沒有生命力殘留了,是為何呢?」
ゼーゾレギンの寄り代は、爆発的な勢いで再生を開始し、数秒で上半身を生やす。
杰佐雷金的憑依以爆炸性的氣勢開始再生,用數秒長出上半身。
『GUOOOOOOOON!』
『咕喔喔喔喔喔喔喔喔嗯!』
声からは知性を感じさせず、まるで獣のような仕草で跳ね起きると、そのままヴァンダルーに躍りかかる。
從聲音裡感覺不到智能,用簡直就像野獸般的動作跳了起來後,就那樣跳過范達魯。
しかし、その動きは致命的に精彩を欠いていた。並の相手になら通用するだろうが、ヴァンダルーには相手にならない。まるで、殺してくれと言っているかのようだ。
可是,那個行動欠缺致命性的活力。如果是對普通的對手會有效的吧,但當不了范達魯的對手。簡直似乎在說要去殺嗎。
「もしかして、体内にフォルザジバルの魂が残っていたのでしょうか?」
「莫非,佛魯札吉巴路的靈魂殘留在體內嗎?」
そう言いながら、神霊魔術を連打する。黒い炎の槍や、氷塊、電撃、そして光線と連続で貫かれ、強靭なはずの邪悪神の憑代は再び倒れ伏した。
一邊如此說著,一邊連續打出神靈魔術。被連續用黑色火焰的槍及、冰塊、電擊、還有光線貫穿,應該結實的邪惡神的憑依再次被打倒。
そして再び神の魂を喰った手応えと、魔王の欠片を入手した感覚。そして――。
然後再次吃了神之魂的反應後,是得到魔王的碎片的感覺。還有――。
(ただいま、俺よ)
(我回來了,我喔)
(……おかえり、俺よ)
(……歡迎回來,我喔)
在るべきものが、在るべき場所に戻ってきてしまった、諦めと安堵が混じった感覚を覚え、胸の内で言葉を交わしたのだった。
應該存在的東西回到了應該存在的地方,感到放棄和安心混雜的感覺,在心裡面互相寒暄。
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